家で生ハムを安全に作ろう!

なんか家で生ハムを作るってロマンがないですか?というわけで家で生ハムを作ってみます。 豚肉の生食には非常に大きなリスクがあると思うのでできるだけ安全に作りたいと思いますが、
正直科学的根拠は全くないのでこれを参考に作るのは全くおすすめしません!

非加熱食肉製品

最初に厚生労働省の非加熱食肉製品の安全基準についてチェックしてみます。
以下リンク
食肉製品 恐らくこれを満たしたものなら問題ないはずです。

定義について

食肉を塩漬けした後、くん煙し、又は乾燥させ、かつ、その中心
部の温度を 63°で 30 分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法によ
る加熱殺菌を行っていない食肉製品であって、非加熱食肉製品として販売するものを
いう。ただし、乾燥食肉製品を除く。以下同じ。 みたいな定義がありますね。
要するに加熱殺菌を行わずに食肉製品についての定義なのでまさに生ハムですね。

安全基準について

以下の定義があるので順番に確認していきます。

製造に使用する原料食肉は、と殺後 24 時間以内に4°以下に冷却し、かつ、冷却後4°以下で保存したものであって、pH が 6.0 以下でなければならない。

一般に流通する食肉製品はこれを満たしているはずなので大丈夫です(ほんとか?)

製造に使用する冷凍原料食肉の解凍は、食肉の温度が 10°を超えることのないようにして行わなければならない。

冷凍品以外を買いましょう。冷蔵庫で解凍すれば問題はないはずです。

製造に使用する原料食肉の整形は、食肉の温度が 10°を超えることのないようにして行わなければならない。

これも一般に流通する食肉製品は条件を満たしているはずですが怖いですね。

塩漬け方法について

亜硝酸ナトリウムを利用して塩漬けする場合としない場合に分かれています。
これは恐らくボツリヌス菌が嫌気性菌のため亜硝酸ナトリウムを利用しない場合には、
塩水法を利用できないためです。
今回は亜硝酸ナトリウムを利用するため亜硝酸ナトリウムを利用する塩漬けを採用します。
発がん性などが取り沙汰されていますが残存量が少量の場合は問題ない程度なため家庭で作る際には利用することを強くおすすめします。 詳細な定義については厚生労働省のHPを参照してください。
要約すると乾塩法による場合は食肉の重量に対して6%以上の食塩を利用して200ppm以上の亜硝酸ナトリウムを用いて塩漬けを行い、
塩水法による場合は15%以上の食塩と200ppm以上の亜硝酸ナトリウムを含む塩漬け液を用いて行うそうです。
また塩漬けについては5℃以下に保持しながら水分活性が0.97未満になるように行わなければいけないとあります。
5℃以下については冷蔵庫で大丈夫でしょうがここが家庭で作る場合には一番心配なポイントかと思います。

塩抜きについて

塩漬けした食肉の塩抜きを行う場合には、5°以下の飲用適の水を用いて、換水しながら行わなければならない。

冷蔵庫の中で水道水を使用して行えば問題ないでしょう。

乾燥について

くん煙又は乾燥は、肉塊のままで、製品の温度を 20°以下又は 50°以上に
保持しながら、水分活性が 0.95 未満になるまで行わなければならない。 ただし、最終製品の水分活性を 0.95 以上とするものにあっては、水分活性はこの 限りでない。

真冬なら屋外でもいいかもしれないですがこれも冷蔵庫で行いましょう。
最終製品の水分活性を 0.95 以上とするものにあっては、水分活性はこの 限りでない。 ←ここの部分の意味はよくわからないのでとりあえず0.95を目指しましょう?

水分活性について

簡単に言うと微生物が利用できる水の割合になります。
塩漬けの場合には0.97で乾燥の場合には0.94になればいいみたいですね。
簡単に見積もってみましょう。

  • 豚もも肉の水分の割合について 100gあたりで68.1gが水分らしいですね。
    出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

  • 水分活性の見積もりについて
    この論文を参考にします。
    食 品 保 存 の 化 学一 昔からの知惹を現代に生かす x gの豚もも肉の場合にy %の食塩濃度にするためには何グラムの水分が減少すれば良いのかを、
    計算するPythonコードを以下に示します。
    条件はコメントの通りになります。

x = int(input())  # 豚肉の質量
y = int(input())  # 目的の食塩濃度(百分率)
a = int(input())  # 豚肉に対する食塩の濃度(百分率)
b = int(input())  # 豚肉に含まれる水分の割合
z = ((a+b)*x*y-100*a*x)/(100*y)  # z gの質量が減少した場合にy %の塩分濃度になる
print(z)
  • 0.97の場合について 載ってないので0.96を採用します。 食塩濃度が7%になれば良いらしいですが以下の計算の通り豚肉の質量に対して、
    6%の食塩を振った場合には約7%の食塩濃度になるはずなのでヨシ!
    ところでこれどのくらい時間が経てば水分が溶け込むんでしょうね……? 豚肉の質量をxgとした時に。
    math (0.06*x) /(0.68x+0.06x) = 0.07
  • 0.94の場合について
    10%の食塩濃度になれば良いはずなので上記のPythonコードを利用して、
    z g減ったらヨシなはず。

結論

500gの豚肉で今回は作るので食塩30gで塩漬けを行い70gの水分が減少すれば条件を満たしているはずです。